ムーミン経由、ドイツ行き
大聖堂に架かる橋
ニール 
・鐘の鳴る町

・川の流れる町
天国への509階段
・その1 ・その2
ひとつきだけの世界遺産
街で人気のコンディトライを探して
中華飯店で日韓友好?
ショッピングモール・アドベンチャー
・その1
・その2 ・その3
ケルンぶらぶら歩き
・その1 ・その2 ・その3
たった一時間のラインクルーズ




滞在中、肌身離さず持ち歩いていたケルン市内の鉄道路線図。旅行が終わるころにはボロボロになっていた。

6年ぶりの海外旅行、念願の街歩き

 私の、初めての海外旅行はシベリア鉄道ツアーだった。おおむね満足しているが、不満もある。ツアー旅行の宿命で、一人でふらっと「街歩き」できなかったことだ。
 というか、それ以前に「街」に滞在する時間が極端に少なかった。仕方ない。シベリア鉄道に乗ってロシアを横断するのが主な目的だったのだから。なので、旅行のほとんどを電車の中で過ごしていた。終点地のモスクワぐらいだ、「街」に滞在する時間があったのは。
 だがその時間も夕方から夜にかけての、ほんの数時間。せっかくモスクワまで来たんだから、もっとあちこち歩きたかった。次の旅行は、絶対、ツアーじゃなくてフリーにしよう。そして「街歩き」の時間をたっぷり取ろう。そう思った。  
 そんな訳で、二度目の海外旅行となったドイツでは「街歩き」の時間をたっぷり取った。というより、旅そのものが「街歩き」の連続だった。本当に毎日、足が棒になるまで歩き回った。おかげでとても楽しい日々を過ごせたが、帰国して、さあそのときのことを文章にまとめようとして、はたと困った。本当に目的もなくただぶらぶらと散策していたので、文章をまとめようにもまとめられない。もっとも、それが街歩きの醍醐味だから仕方ないのだが。後から文章にすることを目的に、まるで取材をしている時のような緊張感をもって街を歩いても楽しくない。何も考えず、面 白そうなモノを探してぷらぷらと歩き回る。「街ぶら」とはそういうもんだ。
 と、開き直っても仕方がない。とりあえず、ケルンの街を散策していたときと同じリズムで、だらだらと書き綴っていこうと思う。読み物としては全く面 白くないかもしれないが、6月のあの日、私が歩いた「ケルぶら」の感覚が少しでも伝えられれば幸いである。 (※ケルン郊外の街歩きについては「迷子になる」を参照 )


「大聖堂」だけじゃないケルンの街の魅力を訪ねて

市内交通 が一週間乗り放題になる「ケルン一週間パス」。ケルンに到着したその日に購入。

 「大聖堂の街」と称されることが多いケルン。だが私が想像していたような「街のどこからでも大聖堂が見える」という街ではなかった。特に大聖堂がある駅前はショッピングビルが建ち並ぶ繁華街になっており、少し歩くとたちまち大聖堂はビルの群れに隠れ、見えなくなってしまう。観光客としては、正直ちょっと拍子抜けする気持ちもあったが、ケルンが大聖堂だけに寄り掛かっている街ではないという「証」にも感じ取れた。そう、ケルンはルール地方の中心ともいうべき「都会」なのだ。
 「どの国に行っても、都会はほとんど同じ風景でつまらない」という声をよく耳にする。「パリに行こうがロンドンに行こうが、どこも似たような高層ビルが立ち並び、繁華街にはマクドナルドなどのファーストフード、大通 りの一等地にはシャネルやグッチなどの一流ブランド店が店を構えている」と。
 確かに一見、都会はどこも似たり寄ったりに見える。だが実際に街を歩いてみると、その国ならではの「個性」が感じ取れるものだ。たとえばドイツにもマクドナルドはあちこちにあるが、ドイツのマクドナルドはバラックがイメージキャラクターになっている。紙コップにも、ハンバーガー容器にもバラックの写 真が大きくプリントされており、ドナルドの影がかなり薄い。世界中にチェーン展開しているマクドナルドだが、店内に入ってみると、「ドイツならでは」の発見に出会えるのだ。街歩きは、だから楽しい。
 とりわけ、私がドイツを訪ねた時期は「WM開催直前〜開催直後」だったので、街にはサッカー関連のモノやイベントがあふれており、とても「他の都会と似たり寄ったり」なんていえなかった。

デパートの壁面 に巨大なセットを取り付け、その「的」めがけて大砲からサッカーボールを発射する「サッカー的当てゲーム」。アディダス提供。
繁華街のど真ん中にあるためか、けっこうな人気で行列ができていた。だが何人打ってもなかなか入らない。私も10分ほど立ち止まって見ていたが、その間、一人も成功者なし
ショッピングモールの1Fにあるアディダスショップ。「IMPOSSIBLE IS NOTHING」の看板がずらりと並び、人目を惹いていた。


 ケルンに到着した翌日の、6月6日。WM開幕を三日後に控え、街はサッカー一色だった…といいたいところだが、大きな街だけあって、サッカー一色に塗りつぶされるということはなかった。それでも、街のあちこちに設置されている公衆電話ボックスのてっぺんにピンク色のサッカーボールが添え付けられたり、デパートでは各国代表のユニフォームが通 路のあちこちに展示されていたりと、歩けば歩くほど「サッカーがある光景」に出会うことができた。
 とりわけ目に留まったのは、アディダスの広告だ。これは何もケルンに限った話ではなく、ドイツのあちこちの街でアディダスの「IMPOSSIBLE IS NOTHING」の広告を見た。さすがアディダスの地元だけあるなぁ…と感心していたのは最初のうちだけ。あまりにもアディダスばかり目につくので、いい加減嫌になってきた。いや正直に言うと、ヘンネスを使った広告を全く見ないのが不満だった。私の中では、ケルンといえばヘンネスだったのに。(注:ヘンネスとは、ケルンをホームタウンとするサッカークラブ「1.FCケルン」のマスコットの山羊の名前。詳しくは「ヘンネスのぬ いぐるみを買う」を参照)  >>続く

オレンジ色の単葉機が目印の大型スポーツショップ。「なぜスポーツショップに単葉機が?」というツッコミはナシで。
こちらの壁にもアディダスの「IMPOSSIBLE IS NOTHING」の広告があったが、バラックのこの赤ユニバージョンは、ドイツでもここでしか見れなかった。
アディダス以外のサッカー広告も、もちろんあった。写 真は、デジカメやAV機器を売っている「デジタルショップ」の壁面 広告。別に私がバラックファンだからこれらの写真を撮っている「だけ」ではなく、本当にドイツではバラックを起用した広告が多いのだ。まさに「街を歩けばバラックに当たる」状態。