「アドベンチャー」なんてたいそうなタイトルをつけてしまったが、単に語呂がいいからつけただけで、冒険などしていない。モールの中をうろうろして、アイスを食べたり、書店で立ち読みしたりしただけだ。だが行動自体はちっとも「冒険」でなくとも、いろんな店を見て回っているときのワクワクした気持ちは「冒険者」のそれだったかもしれない。とにかく見るものすべてが興味深く、半日いても飽きなかった。時間さえ許せば、一日中、モールをぶらついていたかった。
そもそも、当初はここに来る予定ではなかった。ヘンネスのぬいぐるみが欲しくて、FCケルンのファンショップに行かなくては手に入らないと悟った私は、中央駅のインフォメーションでファンショップの場所を訪ねた。するとKoeln
Arcadenへ行けと言われ、行き方も教えてもらった。私はKoeln Arcadenが何なのかも分からぬ
まま、言われた通りの電車に乗って言われた通りの駅で降りると、目の前に巨大なショッピングモールがそびえていた。(このあたりのいきさつは「ヘンネスのぬ
いぐるみを買う」に詳しい。)
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上
二階部分からモールを見下ろす。
下 ヘンネス尽くしだったFCケルンのファンショップ。 |
一目見て、この建物が最近建てられた、新しい施設だと分かった。ドイツでも日本と同じく、ショッピングモールの進出が著しいらしい。
三階建てで、横に広い構造も、日本のショッピングモールと全く同じだ。天井がガラス張りになっているため、陽光が店内に差し込み、明るく開放的な雰囲気が漂う。
ドイツといえば「アメリカ嫌い」という印象が強かった私は、アメリカ発祥のショッピングモールを、その形態や建物の構造も含め、丸ごと取り入れているのがちょっと意外な気がした。ぶっちゃけて言うと、ドイツらしくない。白を基調としたシンプルモダンな建物といえば聞こえはいいが、どこもかしこも白すぎて、まるで病院みたいで味気ない。
実際、中を歩いていても、今、自分がドイツにいるという気がしなかった。まるで日本のショッピングモールにいる気分。とりあえずここに来た目的である、FCケルンのファンショップへと向かう。
ファンショップそのものはヘンネスグッズが充実していて楽しかったが、店の雰囲気という点ではイマイチ。他のファンショップ――たとえばベルリンに行ったときに立ち寄ったヘルタ・ベルリンのファンショップや、フランクンフルトで立ち寄ったアイントラハト・フランクフルトのファンショップの方が、壁に選手やサポーターの写
真が所狭しと貼られていて、いかにも「ファンショップ」といった熱い雰囲気があった。対して、ケルンのファンショップは単にユニフオームやグッズを並べているだけで、まるでブティックのようだった。
きれいで、新しい施設なのも考えものだな――そんなことを思いながら、念願のヘンネスのぬ
いぐるみを買った私はファンショップを出た。もう用事は済んだのだから、ショッピングモールからさよならしても良かったのだが、せっかく電車を乗り継いでここに来たのだから、もう少し中を見学してみよう。
そう思った矢先、前方にカフェコーナーを発見。日本のショッピングモールにある「フードコート」とよく似た構成で、テーブル席の周りにいくつかの店が並んでいる。その中の一つ、ジェラート店に私はまっすぐ吸い寄せられた。甘いものが欲しかったというのもあるが、ガラス張りのケースに入れられた各種ジェラートの盛られ方が目を引いたのだ。
「とぐろを巻いている」という表現がぴったりのジェラートが、容器にうずたかく盛られている。こういう盛りつけ方は、日本にはないものだ。正直言ってあまり美味しそうには見えないのだが、その圧倒的なボリュームに負けて、コーンタイプのものを一つ購入。テーブル席につくまえに、棚から新聞を取ってきて、それを読みながらジェラートをいただく。盛りつけ方は独自のものがあったが、味の方は普通
だった。 >>続く
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人によってはかえって食欲を失いそうな、迫力満点のジェラートの盛りつけ方。 |
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ジェラートを食べながら、店内に置いてあった新聞を読む。というより「見る」(ドイツ語が読めないので)。
写真は、バラックとクリンスマンの対立を勘ぐる記事。発端は、三日前のWM開幕戦。バラックが出場を直訴したものの、クリンスマンがそれを却下して出場させなかったことから、バラックとクリンスマンの確執がドイツメディアを騒がせていた。
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