ムーミン経由、ドイツ行き
大聖堂に架かる橋
ニール 
・鐘の鳴る町

・川の流れる町
天国への509階段
・その1 ・その2
ひとつきだけの世界遺産
街で人気のコンディトライを探して
中華飯店で日韓友好?
ショッピングモール・アドベンチャー
・その1
・その2 ・その3
ケルンぶらぶら歩き
・その1 ・その2 ・その3
たった一時間のラインクルーズ





市電に乗ってPV会場へ
この日、購入したBild紙(6月12日付)より。「イタリア・ゴールド」と書かれたTシャツを着ているバラックは、後のイタリア優勝を予言していた? …というか、そんなもん着てるから、準決勝でイタリアに負けるんだよと突っ込みたい。
市電の駅のベンチに座ってこの紙面に見入っていたら、隣に座った初老のおばさまが「バラックって素敵ね」と話しかけてきた。なんというか、いろんな意味で「さすがドイツだ」と思った。

 街を彩るサッカー広告の多さは「さすがドイツ」という感じで、それらを見て歩くだけで楽しめたが、せっかくWMに合わせて渡独したんだもの、やはりWMの試合が見たい。チケットは持っていなくても、PV(パブリック・ビューイング)会場で皆と一緒に見るだけでもいい。
 ケルンでも、街の二ヶ所にPV会場が設けられていた。一ヶ所は大聖堂の真横の広場に、もう一ヶ所はHeumarktという広場に。
 どちらも混雑するだろうけど、大聖堂横の会場よりも、HeumarktのPV会場の方がまだ空いているのではないかと思い、Heumarktで日本戦を見ることにした。Heumarktへは、市電に乗って出かける。この市電は中央駅からはつながっていないので、初めて訪れた観光客にはちょっと分かりづらい。
 私も最初は戸惑ったが、何度も乗っているうちに、市電の魅力に取りつかれてしまった。なんといっても、ちょうど自転車に乗っているのと同じスピードで、車窓の景色が流れるのがいい。電車ほど速すぎもせず、徒歩ほど遅すぎもしない、絶妙なスピードなのだ。人間だけでなく、犬も慣れた足つきで市電に乗り込んできて、おとなしく車窓の景色を眺めている。きっと犬にとっても、心地よいスピードなのだろう。
 ただ車内は汚い。これは市電に限らず、地下鉄や列車にも共通することだが、ドイツの電車内は基本的にあまり清潔とは言い難い。きっと、犬も自転車も乗り放題だからだろう。ジュースが床にこぼれたままだったり、落書きもされ放題だったりはザラである。
 だが犬も乗車OKな割には、犬の糞は全く落ちていない。車内ではもちろん、路上でもそうだ。あれだけたくさんの犬を見かけるにもかかわらず、一度も路上で犬の糞を見つけたことはなかった。これには本当に驚き、そして感心した。いかにドイツの犬がきちっとしつけられているかを知ると同時に、ドイツ人の環境への意識の高さを垣間見た思いだった。
 また「ドイツは犬が多い」といっても、街で見かけるのはほとんどが飼い主とともに散歩している飼い犬で、野良犬を全く見かけなかった。一度飼ったら最後まで面 倒を見る飼い主が多いのか、それとも野良犬を見つけたらすぐ捕獲するシステムが完備されているのか。本当の理由は分からないが、とにかく野良犬は一匹も見かけなかった。それもまた、路上に糞が放置されていない一因かもしれない。

「ケルンスポーツ」発行のWM無料パンフレット。PV会場の位 置がサッカーボールのアイコンで示されている。
表紙では日本と韓国の国旗がやたらと目立っているが、スポンサーの関係だろうか?

PV会場となったHeumarktのイラスト案内図。実際は、こんなにぎっしり人が詰まっている訳ではなかった。
Heumarktで、日本対オーストラリア戦を観戦する人たち。中田選手の顔がスクリーンに映っている。

 

 HeumarktのPV会場は、やはり大聖堂横の会場ほどは混雑していなかった。青いユニフォームを着た日本人サポーターの姿も、けっこう見かけた。彼らのほとんどは最前列に座り込んで、設置された大スクリーンを見上げていた。
 私が少し遅れて会場に到着したのは、ちょうど日本が先制点を挙げた直後だった。そのまま最後まで見ていたかったが、こ試合の後に始まる「アメリカ対チェコ」のチケット入手を優先させて、後半が始まってすぐにPV会場を後にした。だが結局、ゲルゼンキルヘンのスタジアムにたどり着くことすらできずに、とぼとぼとケルンへ引き返した。(このあたりの経緯について、詳しくは「サッカーを見る」を参照)

 そんな訳で、日本が残り数分でたて続けに3点取られたシーンは、PV会場では見ていない。あれほどまでに凄い逆転劇はなかなかないだろうから、その瞬間をリアルに体感したかった、という気持ちがある反面 、その瞬間の日本人サポーターの落胆ぶりを思うと、その場に居合わせなくてよかった…とも思う。また、会場に大勢いたドイツ人たちの反応がどうだったのかも気になる。ほんの10日ほど前、親善試合でドイツ代表を圧倒した日本代表は、ドイツ人の間でもその評価が急上昇だったのだが。

 

 

トルコの味・Kebapにトライ

 立ち食いできるB級グルメは、街歩きの友。特に時間も、お金もないときには重宝する(ちょっとお行儀が悪いけど)。
 ドイツの「B級グルメ」といえば真っ先にソーセージが思い浮かぶ。いや「B級グルメ」とうカテゴリに入れなくても、ドイツ料理といえばソーセージ、というのが一般 的だ。実際、「ドイツではレストランの料理よりも、屋台のソーセージが一番おいしかった」という声をよく耳にする。そんな声を聞くたびに、私も屋台のソーセージをほお張りながら、ドイツの街を歩きたいと憧れていた。
 しかしいざドイツに行ってみると、ソーセージより気に入ってしまったB級グルメがあった。ケバプである。
 日本ではあまり紹介されないため、私もドイツに来るまで知らなかった。だがケルン在住のH氏に勧められ、トライしてみることに。H氏いわく「ちょっと怪しげなトルコ人が店員のとこが多いので、観光客は敬遠して、なかなか買わないんだよね」だそうな。
 彼の言うように、経営しているのはドイツ在住のトルコ人が多く、ケバプ自体もトルコから来た食べ物らしい。ナンのような小麦粉の薄皮で肉や野菜を包んだ食べ物で、「トルコ風クレープ」といったところか。ドイツの街のいたるところにあり、ソーセージと並ぶ、ドイツのインビス(ドイツではファーストフードのことをこう呼ぶ)を代表する味だ。ドイツに、いかに多くのトルコ人が住んでいるか、そして彼らが長い歴史の中で、いかに深くドイツ人の生活に溶け込んでいるかを実感させられる。
 店の名前は店によって様々だが、たいてい「Kebap」や「TURKY(トルコ)」という単語が店名につく。だが何より大きな目印は、大きな肉の塊を店頭に吊るしていること。注文すると、その肉をナイフでそぎ落とし、薄皮で包んでくれる。肉だけでなく、注文すれば野菜もたっぷり包んでくれるので、旅行中、不足しがちな野菜を補うにもちょうど良い。少なくとも、ソーセージよりはずっとバランスが取れている。
 私がケバプを初体験したのは、Heumarktのすぐ隣の「Neumarkt」という市電の駅前の店でだった。店員はトルコ人ではなく、金髪の若いドイツ人女性。ケバプといえばあの「吊るされた肉」がトレードマークだが、貧乏旅行だった私は肉が頼めず、野菜だけ包んでもらった。肉がないと味気ないかな?と思ったが、皮に塗られたスパイシーなソースがきいていて、野菜だけでも十分美味しかった。日本にも進出してほしいと思ったが、トルコ移民の長い歴史があり、あちこちに巨大なトルコ人コミュニティがあるドイツだからこそ、成り立っている食産業なのだろう。  >>続く

右  Neumarktで市電を待っている間に、駅前のインビスでケバプを買って、その場で立ち食い。皮はパリッと、中の野菜もサクサクで美味。皮の裏側に塗られたピリ辛ソースがポイント。

下  ケバプを購入したNeumarktの店。ケバプだけでなく、ドリンク類も豊富にそろっていた。

右下  こちらもケバプのインビス。場所はどこか忘れたが、たぶん駅のすぐ近く。ケバプのインビスはドイツ中にあるが、特に市電の駅前などに店を出していることが多い。