フランクフルト訪問記
・その1 ・その2
・その3 ・その4
   
   
   
   
   
   
   
   




街の中心レーマー広場。メルヒェンですねえ。

念願のワールドカップチケットが、ついに!

 フランクフルトを訪れたのは6月13日。ドイツを離れる一日前の、最後の小旅行だった。明日の早朝にドイツを発つから、今日はあまり遅くならないようにしないと。少なくとも夕暮れまでには、ケルンに戻らなくては。
 ケルン中央駅からフランクフルト中央駅までは、列車で1時間15分。列車内は混み合っていた。同じ混雑した車内でも、ベルリンに向かう車内とは、また違った雰囲気だった。経済と金融の中心地・フランクフルトに向かうとあって、スーツを着たビジネスマン風の乗客が多く、「通 勤列車」のようなキリリとした雰囲気が漂う。国際空港に向かうのだろう、大きなスーツケースを持った旅行客の姿も目立った。
 「フランクフルト行きの列車は混み合う」というH氏の助言に従って、私は指定席を購入していた。途中の駅でアジア人の若い男性が乗り込み、私の隣に腰を下ろした。てっきり日本人かと思った私が日本語で挨拶すると、彼はやや戸惑ったように、「私は韓国人です」と日本語で答えた。姉が日本に留学しているので、日本語も少しは聞き取れるらしいが、話すのは苦手らしい。そこで、それ以後は片言の英語での会話となった。彼は今日、フランクフルトのヴァルト・シュタディオンで行われる韓国対トーゴの試合を見に行くのだとか。
 それを聞いた私は、図々しくも「チケットを見せてください」とお願いした。チケットなしでも「なんとかなるさ」とドイツに渡ったものの、結局チケットは購入できずに明日、日本に帰る者としては、最後にひと目、ワールドカップのチケットを拝みたいという気持ちが湧いてきたのだ。
 彼は快くチケットをかばんから取り出して、見せてくれた。ああこれが、私がついに手に入れられなかったプラチナチケットか!(というほど、必死になって獲得しようとしてなかったけど)

思わずまじまじと凝視してしまったプラチナチケット。やはりこれを確保してから、ドイツに渡るべきだった……。

 そうこうするうちに列車がフランクフルトに着いた。私はチケットを拝ませてくれた彼の親切に感謝して、今日の韓国の勝利を願って「Good Luck!」と手を差し出すと、彼もその手を握ってくれた。偶然、隣同士になったことから生まれた、ちょっとした日韓友好に貢献できた気分。
 列車を降りると、駅は人でごったがえしていた。ターミナル駅とあって、忙しそうに行き交うビジネスマンの姿が多い。もちろん観光客もいるけれど、サポーターらしき格好の人は見あたらない。そういえばさっき列車で別 れた韓国人の彼も、韓国戦を見にやって来たというが、「いかにもサポーター」な格好はしていなかった。
 ケルン中央駅やドルトムント中央駅のような、「ワールドカップならでは」の飾り付けやアートもない。だから浮ついたお祭りムードも一切なし。ここフランクフルト中央駅だけは、ワールドカップなど関係なく、いつもと変わらぬ 「ビジネスの拠点」として、ドイツの日常を生きているようだった。

ミーハー、そのいち

 駅を出て、とりあえずお昼ご飯を食べようと店を探す。とすぐに、駅の近くにマクドナルドを発見。とたんに、何も考えずに直行する私。ドイツまで来て、なんでマクド? よっぽど腹が減っていたのか? と思われるかもしれない。だが答えは単純。ドイツのマクドナルドの広告キャラクターが、バラックだからだ(ミーハー……)。
 ちなみに、ドイツのバーガーキングの広告キャラクターはカーン。ドイツ国内でのサッカー選手の人気ぶりというか、メジャーっぷりが垣間見られるようである。

 ドイツ滞在中に一度は入ろうと思いつつ、なかなか入る機会のなかったマクドナルドに、ついに足を踏み入れた私。だがそこで目にしたものは、次々とゴミ箱に捨てられていくバラックだった……。
 いや、ハンバーガーやコーラの容器にバラックが印刷されているんだけど、食べ終わったそれらがゴミ箱にポイされて、うず高く積み上がっているんですよ。たとえドイツの英雄バラックであろうと、用が終われば捨てられるのは避けられない運命なのだった。(注 : これを書いているのはドイツワールドカップから5年後の、2011年6月である)
 ゴミ箱に山と積まれたバラックの図をデジカメで撮ろうかと思ったけど、さすがにみっともないのでやめておいた。代わりに、柱にポスターがあったのでそれをパチリ。それからカウンターでメニューを注文し、テーブルにつく。食べ終わったハンバーガーとドリンクの容器は、もちろん捨てずに持ち帰った。  >>続く

壁に貼られていたキャンペーンポスター。ハッピーミールを頼むと、キーパーグローブやゴレオ6世のぬ いぐるみなど、素敵なグッズが当たるらしい。

サイズ違いのコーラの容器が2つあるが、これは相席になった男性に許可をもらって、彼のコーラも一緒に撮らせてもらったため。彼は「こんなもん撮るの?」という感じで笑っていた。(そりゃそーだろう)