バラックのいる風景
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番外コラム

サッカーは続く。
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バラックの世紀
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2011-2012
チャンピオンズリーグ観戦記




フランクフルトの高層ビルから、カカとバラックが下界の人々を見下ろしている。 フランクフルトで入ったマクドナルドで、バラックのポスターを発見。「ハッピーミール」を注文すると、楽しいグッズがもらえるキャンペーンのポスターらしい。


キャプテンのいない開幕戦


 ドイツに到着して四日後、W杯が開幕した。だが、開会式直後に行われたコスタリカとの開幕戦に、バラックの姿はなかった。直前の親善試合で負傷した脚の回復が、予想以上に長引いたのだ。自国開催のW杯で、開催国のキャプテンが開幕戦に欠場する。それだけでも不穏なのに、加えて、バラックとクリンスマン監督が対立しているという噂が、ドイツマスコミを騒がせていた。「脚はもう治った。自分はプレーできる。プレーしたい」と、開幕戦出場を強く志願するバラックと、「無理はさせられない」とバラック温存を押し通 すクリンスマン。ドイツ代表の二大看板ともいえる二人の対立の「噂」は、マスコミを賑わせた。
 直前まで「どうなるか分からない」と思われていたバラックだが、やはり監督の意向は絶対らしく、試合には出場しなかった。だが開会式が終わり、さっきまでの盛大なお祭りが嘘のようにしーんと静まったスタジアムで、最初にファンの前に姿を現したのはバラックだった。正確には、世界中に映像を配信する中継カメラが、最初に捉えた選手がバラックだったのだ。私はそのときベルリン・ブランデンブルグ門のPV会場にいたが、門の前に設置された大スクリーンに、スタジアムの階段を駆け降りてベンチへ向かうバラックの姿が映ったとき、会場を埋め尽くしたサポーターがいっせいに「ウォーーーッ」と歓声をあげたのが忘れられない。ドイツ国民が、いかにバラックに期待しているかが伝わってきたような気がした。
 考えてみれば、当たり前だ。外国人の私ですら、4年前はあれほど悔しい思いをしたのだから。ほかならぬ ドイツ国民は、あのときどれほど「決勝戦にバラックがいれば…」と地団駄 踏んだことだろう。「次こそは、バラックとともに決勝を戦いたい」という思いは、私よりずっと強いはず。その思いを、決勝戦が終わった直後から今日までの4年間、彼らはずっと胸に抱き続けてきたに違いない。
 バラックの代わりにキャプテンマークをつけたシュナイダーを先頭に、ドイツ代表イレブンがピッチへと入場してきた。4年前の無念を晴らす大会が、いよいよ始まった。   >>続く

 ※開幕戦についてのレポートは「今日、ドイツの街で」を参照。

1 ブランデンブルグ門前のPV会場にて。開幕戦を見終わったおばさんサポの背番号は「13」 2 デパートのメンズ売り場で、「13・Deutschland」のユニフォームを着たマネキンを発見。  3 こちらも、ブランデンブルグ門前のPV会場で見つけたサポーター。さっきのおばさんとは違い、ちゃんと「13 Ballack」のネーム入り。  4 屋台でソーセージを買う少年。ドイツのスポーツ店には「13 Ballack」のユニフォームしか売られていないので(他の選手のユニフォームは無いに等しい)、小さな子どもはバラックユニを着ていることが多いように思う。