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フリーキックのチャンスを迎えたアイルランド。 ドイツGKオリバー・カーンが、自軍の選手に壁の指示を送る。 |
後半が始まり、残り時間が少なくなるにつれて必死さをむき出しにしたアイルランドが、幾度となくドイツゴールに迫ってははじき返されるのを見て、思わず「あーあ…」とため息をついた時、初めて自分が、いつしかすっかりアイルランドに感情移入してしまっていることに気づいた。そしてもうこの試合ドイツが勝たなくてもいいや、それよりアイルランドに一点取らせてやりたい、そして一対一の引分けで終わって欲しいと願うようになっていた。 |
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どうせドイツはこの試合引分けでも、前の試合、サウジアラビアに8対0の大差で勝ったことが効いて、決勝トーナメント進出が俄然有利なことは間違いないし。だから懸命に攻め続けるアイルランドのためにも、そして周りで声を枯らして応援しているサポーターのためにも、一点取ってほしいとひたすら願った。 |
ドイツの戦いは実に見事だった。試合後、サッカー評論家などには「一点取ったあと、その一点を守ろうと守備的になりすぎて、やや消極的な試合運びをしたのが最後に追いつかれた原因」とも批判された。が、点を取った後に守備を固めたのは確かだが、勝負にこだわる以上、あれは正しい戦術だったと思う。それに守備的な試合運びがつまらないなんて、そんなことは絶対にない。前半19分にクローゼのヘッドで先制し、以後、いかにもドイツらしい統制のとれた守備でアイルランドの攻撃をはね返す様は、見ていて惚れ惚れした。GKカーンの安定感あふれるセービングは言うにおよばず、それぞれの選手が生真面
目に自分の役割をきっちり果たすさまは、まさに組織サッカーの神髄ここにあり、という感じで見事だった。
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私の隣で、ほとんど立ちっぱなしで熱い応援を送っていた妖精姿のお兄ちゃんたち。 同点ゴールが決まった時、熱狂のあまり私の背中をバシバシどついてきたのも この人たちだ。 こけそうになったやないけ! |
そこらへんがまた、「ドイツのサッカーは面白みにかける」と言われる所以でもあるのだが。が、私自身はちっともドイツのサッカーはつまらないと思わないし、MFのバラックやシュナイダーの動きを追っているだけで楽しかった。つい先日のチャンピオンズリーグでも大活躍したレバークーゼン所属のこの二人は、代表チームでも好調で、フィールドを縦横無尽に駆け回っていた。
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隣の席のおじさんと、アイルランド国旗を広げて記念撮影。 私が実はドイツファンだということは、おじさんには内緒デス。 |
が、バラックのような活気と創造性に満ちたプレーヤーを抱えながらも、チーム全体としてはきっちり統制が取れていて、どれだけ攻め込まれようが決して浮き足立たない。それがドイツの強さだろう。 |