緑に染まるスタンド。ただもう、圧巻の光景だった。 |
|
早い時間に先制したドイツが守りを固める中、その壁をうち砕こうと、愚直なまでに何度も何度もしつこく攻め立てるアイルランド。そのたびに、今や名実ともに世界屈指のGKに成長したドイツの守護神・カーンにねじ伏せられるのだが、それでもチーム一丸となっての波状攻撃は止まらなかった。 |
と同時に、だから他国に比べて老齢なサポーターが多いのかもしれない、と思った。勝ち負けだけにこだわるなら、決してアイルランドは応援していて楽しいチームではない。飽きっぽい若者なら、もっと強いチームを応援する方が楽しいだろう。 |
試合前、これから始まる素晴らしいゲームを祝福するかのように、 バックスタンド上空に花火が打ち上げられた。 |
それは偉大な光景だった。アイルランド側スタンドで、その大合唱の渦中にいた私は、皆と一緒に国歌を歌えないのが悔しくなってしまったほどだ。そして、ああ本当にこのチームは、選手とサポーターが一体になっているのだなあと感じた。
|
終始賑やかだったアイルランドサポだが、相手チームに敬意を払うことは 忘れなかった。 試合前のドイツ国歌演奏の際、彼らはシーンと静まり返り、 演奏が終わると盛大な拍手を送った。 オーロラビジョンに、国歌を歌うドイツの13番、ミヒャエル・バラックが 映し出される。 |
そう、ここまでアイルランドを称賛してきておいてなんだが、私はれっきとしたドイツファンで、この試合のチケットを苦労して獲得したのも、ドイツの試合が見たかったからに他ならない。この日も朝からドイツ代表のレプリカユニを得意げに着用して、周囲に自分がドイツファンであることをアピールしていた。そのくせ、試合前に奇抜なコスプレをしているアイルランドサポを見つけると、すぐさま駆け寄って記念撮影をお願いしていたのだから、我ながら調子のいい性格だと思うが。 |