ふんわり軽いフランクフルタークランツと、濃厚なマルセイバターサンド。好みは人それぞれだが、どちらのお菓子もバタクリ独特の、どこか懐かしい味がする。子供の頃、誕生日ケーキといえばいつもバタクリで、「たまにはイチゴが載った生クリームのケーキが食べたい…」と思っていたっけ。でも今、バタクリを口に入れると広がる卵黄のなめらかなコクとバターのほのかなしょっぱさは、ケーキが贅沢品だったあの頃の「かけがえのない幸せな時間」を思い起こさせ、しばしノスタルジーに浸らせてくれるのだ。

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ユーハイムのロングセラー 「フランクフルター・クランツ」
 

 

「バタークリームのケーキは、生クリームのケーキよりマズイ」とよく聞くけど、バタークリームファンの私としては「あなたはまだ、本物のバタークリームを体験していない!」と言いたい。「バタークリームは油っぽくてまずい」と言う人、それはニセのバタークリームだっ!安いバタークリームはショートニングやマーガリンで代用しているから、やけに白っぽくて油っぽくて、食べた後に胸焼けしてしまうこともしばしば。許せん。ショートニングやマーガリンを泡立てたものを「バタークリーム」と偽って売るなんて。断じて許せん。そんなセコい商法が洋菓子業界に横行しているから、「バタークリームはマズイ」という誤解がすっかり世間に広まってしまっているんだ!

…すみません、つい興奮してしまって。それではバタクリファンの私が冷静に、「バタークリームの美味しさ」について語ってみよう。まず、基本のバタークリームとは純正バターと卵黄と砂糖を混ぜてなめらかにしたもの。このレシピで作られた「本物」のバタークリームは、生クリームより口どけなめらかで美味しいのだ。口の中でスーッと溶けて、バターの風味とバニラの香りがほんのりと舌に残り、口では表現できない甘美な美味しさ。生クリームみたいにただ甘いだけじゃなく、甘さの中にほんのりしょっぱさも感じられるのがまた格別 。甘さと塩辛さ、両方味わえるのがバタクリの魅力なのだ。
味だけでなく、見た目もまた素晴らしい。生クリームより硬いので派手なデコレーションが可能だから、誕生日ケーキやクリスマスケーキにピッタリ。ピンクや黄色のバラが乗っかった派手なバタクリケーキって、昔はどこのケーキ屋さんでも見かけたけど、今はほとんど見なくなったのが寂しい。なんたって、今は「ヘルシーで、甘さ控えめ」のケーキが受ける時代。だからバターたっぷりの濃厚な甘さ、カロリー高めのバタクリケーキはあんまり売れないのだとか。はぁ。
でも欧米では「クレーム・オ・ブール」といって生クリームより高級品のバタクリが、このまま廃れていくのは辛い。そこで日本全国どこでも手に入る、「美味しいバタクリケーキ」をご紹介。それはフランクフルタークランツ。ユーハイムのロングセラーで、誰でも一度は食べたことがあるはず。「クランツ(王冠)」の名の通 り、ふわふわバタースポンジ生地に、メレンゲを加えた軽いバタークリームをたっぷりと塗り、仕上げにアーモンドシュガーをふりかけた真っ白な王冠。値段も1050円(税込)と手頃だし、カステラ感覚でいくらでも食べれてしまう。
常温で5日くらい保つから便利だし、冷蔵庫に入れておいて、毎日、一切れずついただく…というのもアリ。冷蔵庫から出したばかりの、カチカチに固まったバタクリもまた格別 の美味しさ。フワフワなのが好みの人は、そのままレンジで15秒チンしてみて。カチカチだったバタクリがトロ〜ンととろけて、バターのいい香りが復活。とろけたバタクリがスポンジ生地に染み込んで、まるでシフォンケーキみたいなフワフワの舌触りが味わえる。
メレンゲ入りのバタクリじゃなくて、もっとこってりしたバタクリが食べたい!という方には、六花亭のマルセイバターサンドがおすすめ。ホワイトチョコレート入りのバタクリを、サクッとしたビスケットではさんだ北海道の定番土産。バタクリに包まれたラム酒づけレーズンが絶妙なアクセントになっていて、一個、また一個…と癖になる味。