こんにちわ。はじめてお便りいたします。
「何が言いたいのか分からない曲」特集、偶然ネットサーフィンでたどり着いて夢中で読みました。特にサウンド・オブ・サイレンスは私の好きな曲で、関心をもちました。
この曲の次の部分が謎のようですね。言葉の形になったネオン・サインは
警告をひらめかせていた
「預言者の言葉は 地下鉄の壁や
安アパートの廊下に書かれている」これについて私は次のように解釈しています。この曲は最初にdarknessに語りかけることで始まります。なぜなら、あるvisionを夢の中で見たからです。
それは、互いに無関心で表層的なコミュニケーションに終始している人達の姿です。夢のなかで、ネオンライトのなかにこうした人々を見たと詞にはあります。人工的な構築物としてのこのネオンライトとは、現代文明や物質主義に対する比喩だと思われます。一方の暗闇とは、個人の内なる孤独、を暗示しているように感じられます。つまり、光と影、物質的豊かさと内なる孤独が対比的にコインの裏表として語られていると解釈できます。そこで、問題のフレーズが来ます。現代文明を意味するネオンライトの象徴、ネオンライトの神は、言葉を「警告」として発します。その「警告」とは預言者の言葉は落書きにあるというのです。この点について、ある本では、
1.落書きのなかに大切なものが含まれている
2.くだらないものを人々が崇拝している状況への風刺のいずれかの解釈が可能で、歌詞からはどちらかは判断がつかないと指摘されています。
しかし私自身は、これらとは違った解釈をしています。落書きとは社会で他者と心の通 った交流ができない孤独な人達の自己表現と捉えることができるのではないでしょうか。つまり、個人の内なる孤独や反発、抑圧、そして、それを他者に伝えることができず地下鉄やアパートの壁に書くしかない状況を指していると思われます。一言でいえばdarknessの状況ですね。だから、問題のフレーズは、現代文明の行き着く先にはこうしたdarknessが光の影として残され いるという予言、現代文明の神自身からの「警告」なのではないでしょうか。
簡単に言うと、いかに世の中が物質的に便利になり、快適になっていったとしても、その対価として、他人への無関心が蔓延し、他者と心の通 った交流を得ることが非常に難しくなっていくということ、その結果、私達は再びdarknessに語りかけていく(自らの孤独に戻らざるを得ない)ことになる(そして、人によっては落書きを書くことになる)という予言であり、警告なのではないでしょうか。Sound of silence、沈黙の音とは、逆説的な言葉で色んな解釈が可能です。1つの解釈として、人々は言葉を発してコミュニケーションをしているけれども、それは表層的で決して本音が語られず、「心」が通 っていない状況、つまりsilenceとは本音とか心の不在を指し、sound とは表層的なコミュニケーションを意味しているとも考えられます。表面 的に発する言葉は、音は出ているけれども、本音とか心が不在である、という状況が沈黙の音なのではないでしょうか。そして、現代社会ではこの沈黙の音がガンのように広がっていくということへの憂いが、この歌の主題の1つだと私は思っています。
ま、これが唯一の解釈だと言うつもりは毛頭ありませんが…。何かこれとは違った解釈がありましたらお聞かせいただければ幸いです。Text by Harada